第3回全国風穴サミットin信州上田

第3回全国風穴サミットin信州上田

第3回サミットは、「真田丸」ブームでにぎわう上田市で開催され、北海道から九州までの参加者270名が会場からあふれるほど集まりました。参加者を驚かせたのは、参加人数もさることながら、45編158頁にわたる「記念誌」の発行でした。
第1部:ポスターセッションは、全体会場の壁を埋め尽くす20件の掲示があり、観光や教育などの実践報告とともに、研究発表も多く、風穴がもたらす特有の植生、養蚕利用などの歴史、温度や湿度、湧き水への影響といった気象に関するものなど多岐にわたりました。和久井彬実さん(北海道大学)は、風穴の物理環境と周囲の生態系との関係を調べ、「風穴の存在はそこに保全すべき生態系があることを知らせるもの」と指摘し、印象的でした。
開会式に続けての基調講演は自然科学と歴史に関する2つの講演がありました。
伴野豊さん(九州大学大学院教授)は、文部科学省のバイオリソース(生物資源)としての蚕種を保存するプロジェクトを通じて、電気冷蔵庫とは違った風穴小屋利用の効果を知ることになったと紹介しました。風穴小屋は停電の心配がなく、省エネルギーであるばかりではなく、湿度が高く、地中からたえず新鮮な空気が供給されるために、蚕種をカビさせることもなく、高い孵化率を示しました。植物の種子や苗木、動物の卵などには、その低温保存に高い湿度を必要とするものがあり、風穴小屋の利用可能性について示唆を与えるものでした。
第3回サミットの実行委員長の阿部勇さん(長野県図書館等協働機構理事)は「蚕都信州上田の風穴」と題して、信州における養蚕業発展に果たした風穴小屋の役割を史料に基づいて説明しました。
第3部;事例報告では、長野県こども新聞コンクールで入賞した上田市内2名の小学生取材活動についての報告が、信濃毎日新聞記者の選評とともに紹介されました。続いて、北海道から国指定「とかち鹿追ジオパーク」における風穴群がもたらす個性的な森林環境とそれを利用した環境学習の実践報告がありました。
最後に、長野県長和町で1993年に整備された風穴利用の集出荷貯蔵施設(鉄筋コンクリート造平屋建、延床面積274㎡)を利用したダッタンソバ(韃靼蕎麦)の熟成と6次産業化の取組みが紹介されました。苦味が強くて、お茶以外には不人気なダッタンソバですが、標高の高い長和町の立地と風穴熟成が功を奏してか、甘みが出て、地産地消レストランで人気メニューとして定着している事例が紹介されました。
第4部:懇親交流会は、会場となった別所温泉の旅館で行われ、次回開催地が小諸市であることが紹介され、氷風穴の里保存会、長野県建築士会佐久支部、NPO糸のまち・こもろプロジェクト等の関係者が並んで挨拶されました。

≪開催概要≫
名称:第3回全国風穴サミットin信州上田
日時:2016年8月27日(土)~28日(日)
会場:長野県上田市 あいそめの湯ホール
参加者数:270名
主催:信州上田風穴の会、全国風穴サミット信州上田実行委員会
後援:経済産業省関東経済産業局、長野県、長野県教育委員会、長野県観光機構、日本シルク学会、中部産業遺産研究会、上田市、長和町、上田市教育委員会、上田商工会議所、上田電鉄(株)、信州大学繊維学部、長野大学、常田館製糸場、上田蚕種(株)など
協賛・協力:上田観光コンベンション協会、別所温泉観光協会、塩田平文化財研究所、東信史学会、シルクロード長野ネットワーク、蚕都上田プロジェクト、上田地球を楽しむ会など

第1部:ポスターセッション(27日10:30~12:00)

第2部:開会式、基調講演(同12:30~14:40)
基調講演①「蚕種の風穴保存の復活に学ぶ」(伴野豊)
基調講演②「蚕都信州上田の風穴」(阿部勇)
アトラクション(真田十勇士ダンス)

第3部:事例紹介(同15:00~17:15)
子ども新聞の紹介、北海道鹿追町、長野県長和町

懇親会(同18:00~20:00、別所温泉・南條旅館)

ミニツアー①(27日10:00~12:00)
A:別所氷沢風穴・倉沢家蚕室見学
B:別所温泉古刹ツアー

ミニツアー②(28日9:00~14:00)
A:倉沢家蚕室・氷沢風穴・塩田平古刹巡り
B:長和町集出荷施設・笹平風穴他